少子化と進学率の上昇が進む中、高卒採用市場は過去にないほどの競争状態にあります。求人倍率は過去最高を記録し、「採りたいけれど応募が来ない」企業が急増しています。

本稿では、2025年以降の高卒採用における主要トレンドと、応募・定着につなげるための実践戦略を整理し、貴社が「選ばれる企業」として若手人材から選ばれるためのヒントをお届けします。

採用成果を高めたい企業にとって、課題解決のヒントとなる情報をまとめています。採用力強化にお役立てください。

高卒採用の現状と展望#

高卒人材の確保は、多くの業界にとって重要な課題となっています。少子化と進学率の上昇により、就職希望者は減少する一方で、企業の採用意欲は高まっているからです。

このような需要と供給のアンバランスによって、高卒採用市場は大きな転換点を迎えています。

高卒採用市場の現状#

現在の高卒採用は、「売り手市場」です。その理由の1つに、高校卒業後に就職を希望する生徒が年々減少していることが挙げられます。その背景にあるのは、少子化や大学・専門学校への進学率の上昇です。

売り手市場であるもう1つの理由は、若手人材を早期に確保したいと考える企業が増加していることです。特に地方の製造業や介護業、運輸業などでは深刻な人手不足が続いており、高卒採用が重要な人材戦略の一つになりつつあります。

しかし、こうした採用意欲があっても、高校との接点がなかったり、知名度が低かったりする企業は、なかなか応募につながらないのが現実です。

そのため、企業は自らが積極的に情報を発信し、高校生や進路指導担当者との信頼関係を築く努力が必要な時代に変わってきています。

高卒採用の展望、採用市場はどう変わるか#

これからの高卒採用は、「採る」から「選ばれる」へと転換していきます。求人倍率が高止まりし、高校生は複数の企業の中から自分に合った職場を選ぶ時代に入りました。そのため、企業の発信力や魅力づくりが採用成功に直結します。

「選ばれる企業」になるためには、求人票だけに頼らず、企業の魅力を多角的に発信する戦略が欠かせません。

仕事内容や育成制度の見える化、学校との早期接点の確保、SNSや動画による情報発信など、高校生や保護者に安心と共感を届ける工夫が求められています。

2025年高校採用のトレンドと変化#

2026年卒に向けた高卒採用市場は、企業の動きがこれまで以上に活発化しています。求人倍率は過去最高を更新する勢いで推移し、採用競争は一層激化しています。

これに伴い、待遇や制度の見直し、採用ブランディング、情報発信の強化といった取り組みが加速中です。

今や「選ばれる企業」であることが採用成功の鍵となり、戦略的な採用設計が企業の競争力を左右します。

2024年度は過去最多!高卒求人倍率の推移#

出典元:厚生労働省「令和6年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」取りまとめ(7月末現在)」

厚労省が公表した「令和6年度 高校新卒者の求人・求職状況(7月末時点)」によると、全国の求人倍率は3.70倍と前年同月より0.18ポイント上昇しました。これは統計開始以来、過去最多の水準です。

求人数が約46万5,000人と前年比で4.8%増加する一方、求職者数は約12万6,000人で前年から0,1%減少とほぼ横ばいです。このデータから分かるのは、企業の採用意欲が強まるものの、若手人材の確保がますます困難になっていることです。

その背景には、以下のような要因があります。

  • 少子化と大学進学率の上昇により、高卒就職者数が減少
  • 特定業界での若年人材の不足(製造業・運輸・介護など)
  • 中小企業を中心に、大卒採用から高卒採用へのシフト

このような状況から、高卒市場は今や完全な売り手市場となっており、従来の採用手法では人材確保が難しくなっています。

制度改革を進める企業が増えた#

今の企業にとって重要なのは、採用した若手人材を「どう育て、どう定着させるか」です。そのため、多くの企業が制度改革に踏み出しています。

2024年度に初任給を引き上げた企業は75.6%と、過去最高を記録しました。これは1997年度以降で初めて7割を超える水準であり、高卒の一律初任給は18万8,168円(前年比4.58%増)となりました。

初任給引き上げの理由に「人材を確保するため」と回答した企業は73.5%にのぼり、若手人材の争奪戦がかつてない水準にあることがうかがえます。

参照元:産労総合研究所

こうした動きは待遇面にとどまらず、社内制度や教育体制にも及んでいます。

  • 高卒専用の研修プログラムの導入
  • 新入社員への定着支援制度(メンター制度など)
  • キャリアパスの明示と社内昇格制度の整備
  • OJTと外部研修を併用したスキルアップ支援

採用だけでなく、入社後の活躍や定着までを見据えた取り組みが、企業の評価を左右する時代となりました。

採用ブランディングの重要性が高まっている#

待遇面の改善が進む一方で、近年では企業の姿勢や理念に共感できるかどうかが、就職先を選ぶうえでの判断材料となっています。

高校生やその保護者、進路指導の教員は「安心して働ける職場」「社会的に価値のある企業」を重視しています。そのため、採用活動ではブランディングの視点が欠かせません。

具体的には、以下のような取り組みが求められています。

  • 地域貢献活動やSDGsへの取り組みを発信
  • 若手社員の成長ストーリーを紹介
  • 保護者向けパンフレットやWeb説明会の実施
  • 高校への出前授業やキャリア講話の提供

知名度や規模だけではなく、「この企業で働きたい」と思われるようなストーリーの発信が、採用成果に直結しています。

採用活動のトレンドはデジタル化へ#

高校生の情報収集手段がインターネットやSNS中心となった現代では、採用活動のデジタル化はもはや必須となっています。そのため、求人票だけでは伝えきれない企業の魅力を、SNSや動画、Webコンテンツで補完する企業が増えています。

以下のように、ツールの特性を活かした発信で、企業認知を広げることができます。

ツール活用例
Instagram職場の日常を発信し、社風を可視化
YouTube先輩社員の1日紹介や職場ツアー動画
チャットボット採用サイトでの質問対応


また、厚労省が運営する「高卒就職情報WEB提供サービス」や「ハローワークインターネットサービス」など、公的な情報基盤も整備が進んでおり、企業にも積極的なデジタル発信が期待されています。

参照元:厚生労働省・「高卒就職情報WEB提供サービス

いま高卒採用に注目が集まる3つの理由#

近年、多くの企業が高卒採用に本腰を入れています。その背景にあるのは、少子化による人材不足だけではありません。

ここでは、いま高卒採用に注目が集まる3つの理由を紹介します。

① 若手人材の確保#

今、多くの企業が直面している課題が、若手の人材確保です。

大卒人材の応募が減少して採用競争が激化する中、企業はより早い段階から優秀な人材の確保に迫られています。そこで注目されているのが「高卒採用」です。

高卒採用で若手人材を確保するメリットはいくつかあります。

  • 大卒の採用単価に比べて圧倒的に低単価
  • 地元志向が強く、定着の可能性が高い
  • 若手を自社で一から育てることができる

特に製造業・物流業・サービス業では、年齢構成のバランスを整え、将来的な幹部候補を育てる目的で高卒人材を積極採用する企業が増えています。

そして今のうちから採用を進めておくことで、将来的にはOB・OGが在籍する企業として学校内での認知度と信頼も高まるのです。継続的な採用基盤の強化につながるブランディング効果も得られます。

② 教育コストの内製化#

人材育成のトレンドは「内製化」へと変化しています。外部の即戦力を採用するよりも、自社内で長期的に人材を育てるほうが、長期的な視点でコスト減となるからです。

また、以下のような理由からも、高卒採用は人材育成の内製化に適しているといえます。

  • 入社時点での先入観が少なく、企業文化に馴染みやすい
  • OJTとの相性が良く、現場での実践教育が有効
  • 外部研修や転職市場からの採用に比べて、採用単価が低い
  • 定着率が高く、育てた人材が長く活躍する可能性がある

近年は「人材を買う」から「人材を創る」へと考え方がシフトしており、高卒採用はこの流れに非常にマッチした手法といえるでしょう。

③ 長期雇用・定着率の高さ#

高卒人材の大きな魅力のひとつが「定着率の高さ」です。厚労省の調査によると、高卒就職者全体の3年以内離職率は38.4%と決して低くはない数字です。しかし、地元企業に就職した場合には、この離職率が大きく下がる傾向があることが注目されています。

また別の調査では、高校新卒者の県外就職率は過去5年間で1.9%減少しており、「地元志向」が高まっている実態が見えてきます。

出典元:厚生労働省「令和4年3月新規学卒者(高校・中学)の職業紹介状況

地元企業に高卒人材が定着しやすい主な理由として、以下の点が挙げられます。

  • 家族や地元とのつながりが強く、生活基盤が地域にある
  • 地元での就業を前提に進路を選んでいる
  • 就職前から地元企業との接点(見学・実習など)がある
  • 入社後は「仲間意識」や「地域貢献」への実感を得やすい

こうした背景から、高卒者は転職や離職の意向が低く、長期的に活躍する人材となるケースが多いです。

そのため、高卒採用は単なる人員補充ではなく、中長期的に組織基盤を支える安定的な人材戦略として再評価されているのです。特に地域に根差した企業にとって、地元の高卒人材は将来の中核を担う貴重な存在といえるでしょう。

参照元:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します

高卒人材に選ばれるための採用戦略#

高卒採用市場が売り手優位へとシフトしている今、企業に求められるのは「選ばれる企業」であることです。

高校生や保護者、進路指導教員の信頼を得るには、仕事内容の透明性、地域との接点、そして企業理解を深める取り組みが不可欠です。

以下、応募数と定着率を高めるための3つの実践戦略を紹介します。

仕事内容・職場環境・育成制度を“見える化”する#

高校生が就職先を選ぶとき、何よりも重視するのは「安心して働けるかどうか」です。そのためには、求人票では分からない、企業の内側を具体的に伝える「見える化」が必要です。

たとえば、以下のような情報をWebサイトやSNS、パンフレット、説明動画で発信するのが有効です。

  • 仕事内容の詳細:どのような作業を行うのか、1日のスケジュールや仕事の流れ
  • 働く環境:作業風景の写真や設備紹介、社員の声をビジュアルで掲載
  • 教育制度とキャリアステップ:研修内容や先輩社員の成長事例、昇給・昇格の流れ
  • 働き方・福利厚生:勤務時間、休日制度、寮・通勤サポートなど

職場の雰囲気や社員のリアルな声を可視化することは、高校生だけでなく保護者や教員にも安心感を与えることができます。

職場の実態や企業の姿勢を伝え、自分が働くイメージを明確に持たせることで、入社後のギャップや早期離職のリスクも軽減できます。

地域イベント・出前授業などの教育連携を強化する#

高卒採用を成功させるには、学校との信頼関係構築が非常に重要です。そのため、企業の担当者が教育現場へ顔を出し、先生や生徒と積極的にコミュニケーションを取ることが求められます。

学校とのつながりを強化することは、以下のようなメリットを企業にもたらします。

  • 早期接点による認知向上:高校1・2年生の段階から企業名を知ってもらえる
  • 職業理解の促進:仕事内容を直接伝えることで、職場への理解度が高まる
  • 教員との関係構築:進路指導教員から推薦をもらいやすくなる

具体的には、地域のキャリアイベントや職業体験会、出前授業、進路講話などが有効です。さらに、インターンシップや職場見学の受け入れ体制を整えることで、「現場を見た上での応募」が可能となり、ミスマッチ防止にもつながります。

地元志向の高い高校生にとって、地域と関わる企業は安心感のある就職先です。地域全体の教育・採用インフラに貢献する姿勢が、企業への信頼と評価を高めます。

内部リンク:高卒採用 地元

部活動のスポンサーで企業認知を広げる#

高校生との自然な接点を生み出し、企業認知を広げる施策として注目されているのが高校部活動のスポンサーです。ユニフォームへの協賛や大会スポンサーとして部活動を支援することで、生徒や保護者、教員の間に企業名が自然と認知されていきます。

部活動支援が高卒採用に効果的な理由は、いくつかあります。

  • 1〜2年生からの早期認知が可能
  • 地域貢献企業としての好印象を獲得
  • 非接触型ブランディングとして長期的に効果が継続

特に地方の中小企業にとって、知名度の低さや情報発信の難しさが大きな課題です。実際には魅力的な環境や制度があっても、求人票だけでは十分に伝わらず、応募数の伸びに悩む企業も多いでしょう。

そこで注目されているのが、「Bスポンサーズ」のようなサービスです。

Bスポンサーズは、運営資金が不足しているなどの理由で支援を受けたい高校部活動と、認知を広げたい企業とをマッチングするサービスで、高校と企業の早期の関係構築をサポートします。

無理のない予算で始められる点も魅力で、採用ブランディングと地域貢献を同時に実現できるのが大きな特徴です。高校生に「まず知ってもらう」という採用活動の第一歩として、Bスポンサーズの活用は非常に有効な手段といえるでしょう。

まとめ#

高卒採用市場は、少子化と進学率の上昇によって競争が激化する「売り手市場」となっています。このような現状を踏まえた今後の採用展望として、高校側との信頼関係の構築と、早期からの接点づくりが採用成功の決め手となります。

もはや求人票だけでは人材は集まりません。これからは、企業のストーリー性ある発信と信頼づくりが、高卒採用の要です。その第一歩として、「Bスポンサーズ」の導入は効果的な選択肢となるでしょう。